新しい年を迎えました。
気持ちも新たに、初詣へ出かけて一年の健康や幸福を祈り、新たに今年の目標やスケジュールをたてた方も多いことでしょう。
田畑に関わる方は、お正月を迎えると冬も折り返しで、春からの作業についてのあれこれを考え始める時期でもありますね。
お正月に代表されるように、昔から日本人は、五感で感じる四季折々の風情や年中行事を大切に暮らしてきました。
日々の暮らしには暦がつきものですね。
「何月何日」という暦は、現在は太陽の運行をもとにした太陽歴ですが、明治6年(1873年)以前は、月の満ち欠けと太陽の運行を組み合わせた太陰太陽暦を使っていました。
太陰太陽暦は季節と月日にずれができて、毎年の季節の仕事を進める目安になりにくいため、太陽の動きをもとに1年を24等分する考え方が「二十四節気(にじゅうしせっき)」です。
太陽が移動する天球上の道を黄道といいますが、これを
2つの「至」に分割=夏至と冬至
さらに2つの「分」に分割=春分と秋分
さらに4つの「立」に分割=立春、立夏、立秋、立冬
これを15日ずつさらに等分したものが「二十四節気」です。
毎年同じ時期に同じ節気が巡るため、農事や年中行事の目安になっているのです。
立春の前日は「節分」、春分は「お彼岸の中日」であるなど、年中行事とからんでなじみのある節気も多いですね。
2017年の春頃までの二十四節気は、
小寒(しょうかん)1月5日。寒さが本格的になる時期。
大寒(だいかん)1月20日。一年のうちで最も寒い時期。
立春(りっしゅん)2月4日。二十四節気の最初の節とされ、この日から春。
雨水(うすい)2月18日。雪が雨に変わる時期。農耕の準備を始める目安。
啓蟄(けいちつ)3月5日。土の中の虫が出て来る頃。
春分(しゅんぶん)3月20日。本格的な春が始まる時期。
清明(せいめい)4月4日。自然が清らかで明るく春に満ちた時期。
穀雨(こくう)4月20日。春の雨に農作物が潤う時期。種まき適時。
二十四節気はもともと古代の中国で考えられたものなので、実際には日本の気候と会わない部分もありますが、八十八夜(はちじゅうはちや)、土用(どよう)といった日本独自の区切り(雑節という)を取り入れて補足するような形になっているのが、日本の旧暦といえます。
そして、あまり知られていませんが二十四節気を5日ごとに分けたものは、「七十二候(しちじゅうにこう)」といい、それぞれに生き物や植物の様子、天気などの特徴を現す名がつけられています。いずれも、その時期ごとの季節の兆しや旬を伝えてくれる、素敵な言葉です。
例を挙げれば、
款冬華(ふきのはなさく)1月20日(以下、日付けは2017年のもの)ー まだ寒いけれどもふきのとうが顔を出す頃。
黄鴬睍睆(うぐいすなく)2月8日 ー 春の訪れを告げる鴬が鳴き始める頃。
桃始笑(ももはじめてさく)3月10日 ー 桃の花が咲き始める頃。
霜止出苗(しもやみてなえいづる)4月25日 ー 霜が降りなくなって、稲の苗が生長する頃。
というように、字を見ただけで、脳裏にその季節折々の風景が浮かんできそうですね。
七十二候は、中国のものをそのままでなく、日本の暦学者などによって改訂されて現在のものになっているので、ほぼ違和感がありません。
もちろん、日本は小さな国とはいえ北と南ではかなり気候が違うため、これらに当てはまらない地域もあることでしょう。
近頃では、店には季節を問わずいろいろな種類の野菜や果物が並び、都市部では土や緑に触れる機会も少ないと思います。
時にはこうした言葉やその意味に触れ、日本の四季を愛でてみませんか。
「鴬も鳴いたし、そろそろ畑を耕してジャガイモの種芋を植えようか」「穀雨だし、野菜の種を蒔こう」などと考えながら、二十四節気を家庭菜園や農作業に取り入れられたら、また一つ楽しみが増えそうですね。^^
by 便利さん